靴はシルバーのハイヒール。胸元には彼からもらったネックレス。髪の毛もおろして秘書の時とは違う、プライベートの香月菜々になった。
秘書だからではない、別な意味で私を選んだとお母様に見せたいのだろうとは思っていた。気持ちが通じるといいのだが、お母様にもお付き合いを認めて頂けたらと思う。
高級外車から降りてきた彼は、御曹司の休日スタイルそのままだった。ジャケットとブランドシャツにスラックス。磨かれた靴。いつもはしていない眼鏡をかけていて、とてもおしゃれだ。
彼は車から降りてくると、私を上から下へとまじまじと見つめた。
「菜々。お前めちゃくちゃ可愛いぞ。こうやっていつも斉藤とデートしてたのか?アイツ本当に、ますます許せん」
「何を言ってるんですか……この姿で本邸に伺って平気ですか?くだけすぎてませんか?」
彼は私の手を引っ張ると助手席のドアをあけて入るように促した。
「お前のこういう姿が見たかった。これなら母さんも気に入るぞ」