「それで?お付き合いしていることは秘書課で話していいの?」

「うん。一応、総帥からはOKもらっているけど、土曜日急に本邸の奥様へお目にかかることになったの」

「えー?まだ、お付き合い始めたばかりなのに外堀埋められてしまって、菜々大丈夫?正直付き合ってみたら合わないかもしれないじゃない」

 その通り。実は彼のマンションへ行って驚いた。生活感が違うので、価値観が違うかもしれないと不安は出てきた。

「……そうだよね」

「まあ、でも榊原財閥の御曹司の秘書をしていたのに、彼と別れるくらいなら最初っから付き合うなってことかもよー」

「……ううう」

「冗談だよ。彼のこと好きだったくせに……今更何言ってんのよ」

「……うん。確かにそうだね。めまぐるしくてちょっとついて行けてないんだと思う」