それ以外の人達とは黒沢さんと仲が良かったメンバーのことだ。実は取り巻きのふたりも事件翌日からすでに出社しなくなっていた。何かあったというのは皆わかっていて、真紀に事情を聞いたりしていたようだった。

「秘書課のメンバーに聞かれたらどう答えたらいいか、辰巳さんに聞いてあったの。その通り答えてた」

 真紀は笑いながら教えてくれた。クルーズ後、崇さんと付き合うことになったと話したら、おめでとうと抱きついて喜んでくれた。そして事件のことを説明した。

「どっちにしても、菜々が崇さんの隣に座るとなったら、あの人達何かしてただろうから時間の問題だったかもね」

「伸吾が黒沢さんとずっと付き合っていたというのは本当にショックだった」

 真紀は私の肩をやさしくポンポンとたたいた。

「そうだね。でもそのことを聞く前に別れていてよかったよ。付き合っていたときにそんなことを聞いたら、正直慰め方がわからなかったよ」

「確かにそうだね」