「おいおい。美保何する気だ?相手は御曹司秘書だぞ。いくらお前でもやり過ぎるとまずいぞ」

「ちょっと拝見させていただくだけよ」

 伸吾は秘書出身だからピンと来たんだろう。ベッドに乗り上げると私の横に来て耳元で囁いた。

「……アイツはいつも羊のキーホルダーに家の鍵と机の鍵、ロッカーの鍵も付けてる」

「ありがと。うまくいったらたっぷりお礼をするわ」

 伸吾の頬にお礼のキスをすると、彼は私の身体に覆い被さってきた。

「ああ、そうしてくれ。俺とお前の相性は最高だ。あんなマグロ女、御曹司にどうせすぐ捨てられるから何もしなくてもお前におちてくるぞ」

「……うふふ」

 待ってなさい、香月さん。崇さんは返してもらう。その夜は伸吾と朝までそこで過ごした。

 その頃、父は香月さんの実家へ手を伸ばしていた。私は仕掛けるなら彼女に大きなダメージが出そうな相手先を選んだ。

 計画は成功したかに見えた。まさか、その相手先に足下を掬われるとは思いもしなかった。