この気の強い香月さんの同期は本当に気に入らない。虐めても、虐めても、涙ひとつ見せない。香月さんはすぐにメンタルやられていたのに……。

* * * *

 翌週、崇さんは本部へまた急に戻ってきた。でもひとりだった。安心していたらとんでもないことを皆の前で言った。

「明日から、神奈川支社へ半年前に行った香月さんが戻ってくる。そして、彼女が辰巳に代わって俺の専属秘書になる予定だ。みんなよろしく頼む」

 ざわざわと皆が顔を見合わせ話し出した。総帥が許さないだろうと皆が言う。男性秘書しか御曹司にはつけないというきまりがあるのだ。だから私は瀬川さんで我慢していたのに!

「ああ、言い忘れたがこのことは父もわかっている。彼女を問い詰めるようなことはしないように。時間をもらって悪かったな。仕事に戻ってくれ」

「あ、あの……崇さん」