いやいやいや。街を支配している総長様にくん呼びで、しかも敬語ではもう世界線が謎すぎる。
「それはさすがに無理です……」
「ご主人様の命令は絶対って言葉あるでしょ?」
おもしろそーに笑う綺麗なお顔。
「ほら、言ってみ?」
この人に、逆らえる人がいるんだろうか。
「わかり、……、分かった」
「ん。じょーず」
きっとこの人は瞳に催眠術でも掛けられる能力があるんだと思う。
誰だってこの人に少し見つめられただけで言うことを聞いてしまうくらいの圧倒的なオーラがあるんだから。
言ってはいけないって分かってるタメ口。
それでもこの人に言われると、体が操られているようになるから。