どんなことが起きてもどうせ麗華に取られちゃうんだから別にいいかもしれない。


黒羽さんの下僕になってもならなくても私が不幸になるのは間違いないだろうしね。


そう思うとなんだか開き直れる気がしてきた。


「じゃあ咲良、ひとつめの命令、ね」


「……はい、」


せめて不幸になるなら、


誰かの役になってからの方がいい気もす━━━━━



「俺のこと、名前で呼んで?」


「はい?」


「ほら、早く」


オレノコト、ナマエデヨンデ?
ホラ、ハヤク。



ぜ、全部カタカナに変換してしまうくらいおかしな命令。


な、名前で?黒羽さんを?


「そそそそんな!恐れ多いです……!」