この『黒羽朝光』という人間がだんだん見えなくなってくる。


気まぐれなのは分かった。そして最初は優しいとも思ったけど、


「じゃあ下僕の咲良は俺の命令なんでも聞いてね?」


「……は、い」


とんでもない極悪人なのかもしれない。

じっと漆黒の楽しそうにしている瞳を見た。

このくらい瞳の中にいるであろう黒羽朝光をきっと誰も計り知れないんじゃないかな。


それにしても、命令ってどういうのが来るんだろう。

実家でやらせれてた掃除とかそういう家事がいいなぁ。


っ、もしかして暴走族の総長だから囮とかやらされて敵組織に行かされたりして……!?


ありそう、だな。

でも、


チク、と胸がいたんで昨日の出来事を思い出す。