「えっと、でも……」
「俺が誰か分かる?『くろばねあさひ』これだけで街の子供でも分かるよ」
『俺が誰か分かる?』
この言葉に『拒否権はない』という副和音が着いていたように思える。
王様の瞳と言葉をされればもうおしまい。
その気高く、美しく、そして傲慢な瞳に私の全細胞は抗えなかったみたい。
「分かり、ました」
考える間もなく反射的に言ってしまっていた。
口で手を抑えても無駄に等しい。
「じゃー、咲良は今日から俺の下僕ってことで」
にこ、とさっきまでの重圧を解いて微笑んだ黒羽さん。
このひと、ほんとにキョーミがあるっていうだけで私と同居するって言ってるの!?