目の前には妖しげに唇の端をあげてる黒羽さん。


ケーヤクって契約、だよね。


なんの、だろう。


頭にはてなマークを浮かべる私を見た黒羽さん。


「俺は咲良にこの家を提供してあげる」


「はい?」


「だからさ、咲良は俺の下僕になってよ」


「……はい?」


下僕?家来、みたいなやつだよね。


ていうか家を提供って……。同居って、こと!?



「なんかねー、俺咲良みたいな女子初めてなんだよね。だから普通にキョーミがある。で、咲良も家がなくて困ってんだから、win-winじゃない?」


すうっと三日月形に細められた目。


そこには昨日から見てたよりも本物の『黒羽朝光』の存在が確かにあった気がした。