「っ、いえ、おいしくて……。ごめん、なさい……っ」


もともと食べることは大好きだった。


おばあちゃんとおじいちゃんが生きていた頃はたまに外食に連れて行ってもらえて。


よく食べるねって2人が微笑んでくれたのはもう思い出せないくらいの歳の話。


でもおばあちゃんもおじいちゃんも死んじゃってから、自分の生活費を稼ぐのに必死だったからお腹いっぱい食べることや美味しいものを食べることはなかった。



その反動で今なお止まらない涙。


「謝らなくていーからいっぱい食べな」


優しい声が降ってきて頭をくしゃりと撫でられる。


━━━━━━この人はきっと優しい人だ。


泣いてほとんど見えなかったけど、なんとなく口角を上げていることは分かった、から。