「っえ、凪くん!?俐木くんも……」



弘樹くんを蹴ったであろう、長い足をだらんと下げている凪くんと、気だるそうな顔をしている俐木くんがいた。



「さくら先輩、遅れてごめんなさい」


眉を下げて言った、制服の上に緩いパーカーを着ている俐木くん。



せ、先輩呼び……!


「ぜ、全然大丈夫だよ。それより遅れてって、どういうこと?」


こんな可愛い後輩を許せない人がいるのだろうか……。


と思ったら「そーっすか」なんてけろっとしてるから、ひょっとしたら俐木くん、小悪魔かもしれない。


「俺たちさ、朝光に言われて咲良に危害が加わらないようにしとけって言われてたんだよ。なのに遅れてごめんってこと」


ああ、なるほど、


朝光くん、そんなことまでしといてくれたんだね。
心にじんわり、暖かいものが広がったとき。