力では当然負けてしまうわけで……。
「っ、だからお前は騙されてるんだって!」
「っ、痛いっ……!」
さっきよりも増した力で手を握られると、痛みに悶えることしかできなくなってしまう。
自分の無力さを痛感しつつも、涙が滲んできたとき、
「ぐっ、」
「っえ?」
バキッて、聞いた事のないような音がして、目の前の弘樹くんの体が吹っ飛んでいった。
同時に痛みから開放された手首。
訳が分からず頭に疑問符を浮かべていると……
「はーい、そこまでー」
「弱いくせに俺達の仕事増やさないでくださいよー」
「ぐっ……、」
聞こえたのは凪くんと、俐木くんの声。
それから弘樹くんが苦しそうに出した声。