「でもありがとね、話してくれて。もう下校時刻過ぎちゃうし、帰ろっか」
「そうだね、付き合わせちゃってごめん……!」
「全然いいよー」
2人でゆっくり、廊下を歩き出す。
ぬるい春風が吹き抜けて、そのとき。
「ねえ、咲良。わたし思ったんだけどさ、」
「うん」
「黒羽さんはきっと咲良のこと━━━、」
「あ、あのっ!」
ななちゃんが何かを言いかけたタイミングで、男子の焦ったような声が聞こえた。
私とななちゃんが振り向くと、
「あの、なな!俺、さっきの姿を見て、ななに惚れました!付き合ってください……!」
まさかのななちゃんに告白したのは、同じクラスの男子。
ななちゃんはサバサバした性格だから、男友達も多くて、彼もその1人だったはず。