どうやら王様の素質を持っていたのは、
朝光くんだけじゃなかったらしい。
「答えられないってことは、君の嘘ってことでいー?」
コクコク、と激しく頷く麗華とその取り巻き。
こう言われたら誰だって頷いてしまう。
そのくらいの人を従わせる力が凪くんにも確実にあるんだろう。
口は笑っているのに目は笑っていないところが彼の怖さと暴力的な美しさをまた引き立てている。
「あと、もうこんなに広まってたら無駄だと思うから言っとくけど、咲良は朝光の''お気に入り''だから、」
この後の言葉を、凪くんは敢えて言わなかった。
でも、大半のクラスメイトは察しがつくだろう。
''黒羽朝光のお気に入り''に手を出したらどうなるか、くらい。