わたし、そんなことした、かな……。
その前に聞こえてきた悪口も、全く身に覚えがない。
けど、絶対わたしに聞こえるように言ってるよね。
なんともいえない黒い感情が生まれて、自分の手を強く握る。
「咲良……」
そんな私を心配そうに見たななちゃん。
にこ、って無理して笑ったつもりだったけど、きっとひどい笑顔になっていたと思う。
そんな私を見てななちゃんがキッと麗華たちを睨みつけた。
「……麗華、あんたたちさぁ、コソコソしてずにこの場で堂々と言いなさいよ!」
その言葉に麗華たちの肩がビクッとした。
「な、ななちゃん……!?」
「うるさいのよ、虫の羽音みたいで!どーせストーリーあげたのも麗華、あんたでしょーけど言いたいことるなら言ってみなさい!」
しーん、と静まり返る教室。
クラスの皆の視線が私たちに注がれている。