幸せ、だなぁ。
人の、というか朝光くんの腕の中がすごく落ち着くようになってしまったみたい。
少なくとも、私が今まで過ごしてきた朝の中で、1番幸せな朝だ、なんて思った。
「あ、朝光くん?もう行かないとヤバいんじゃ……」
「あと10秒だけ、」
さっまで緩く回されていただけの腕に力を込められて。
朝から体がすごく熱くなってしまう。
あっという間に10秒が経過して、朝光くんの体温が離れていく、と同時に彼の美しい顔が近づいてきて、
キス、される。
反射的に分かった。
でも、嫌じゃなかった。
むしろ、
「朝光さま。時間が押しております。お急ぎください」
唇が触れる直前、また昨日みたいにスピーカーから井口さんの声が聞こえてきた。
チッ、と舌打ちをしてから急いで立った朝光くん。