「ねー咲良、ぎゅってして、」


「ええ、」



「だって今日、俺学校いけないもん。咲良のこと充電したいから、ほら」


「ひゃ、」


ぐり、と肩に頭を押し付けられて、変な声が出てしまう。昨日で私は朝光くんの熱に弱くなってしまったのかな。



おそるおそる手を伸ばして、真っ黒なスーツに触れる。



やっぱり朝光くんは着痩せするタイプみたい。

スーツ姿はスラッとしてモデルさんみたいだったのに、今わたしが手を回した体は、全然ひょろひょろじゃなくて、むしろがっしりしている。


体格差があるからか、朝光くんがしてくれるみたいに上手く抱きしめられなくて、きゅ、と弱々しい感じになってしまった。



でも、応えるみたいに腕をゆるく回してくれて。


朝光くんの体温が直に伝わってくる感覚。