「ご、ごめ……」
「これだから無自覚はタチが悪い」
「え?」
「悪いけど、もうやめてって言ってもやめねえから」
その刹那、鼻先が触れ合う。
少しでも動いてしまえば、唇が重なってしまう距離に息が止まりそうだ。
「あの……んん……っ」
何か言おうとしたけれど、それは言葉にはならず、その代わり甘い吐息が漏れた。
何度も角度を変えて、優しく押し潰すように深くなっていくキスに段々と酸素がなくなって頭の中がぼーっとしてくる。
「み、かげ……さん……っ」
息が出来ず、苦しくなってきたわたしは何とか彼の名前を音にしてトントンと軽く胸を叩いた。
「ん?」
息切れをしているわたしとは反対に御影さんは涼しい顔をしている。
うっ……経験の差を見せつけられてるみたいで嫌だ。
きっと、御影さんは初めてなんかじゃないし、ドキドキしてるのもわたしだけ。
「い、きが……」
「息継ぎ下手くそ」
ふっ、と口元を緩めながら御影さんがわたしの頭をそっと撫でる。
たったそれだけなのに全身を流れる血液が沸騰したみたいに熱くなっていく。