「えぇ……?ちょっと御影さん……!」


どこにいくつもりなの!?

彼は会場のステージに上ると司会の人からマイクを奪い、わたしの腰をぎゅっと抱き寄せた。

そして、ゆっくりと形のいい唇を開いた。


「えー……皆様、私事で申し訳ないのですが、わたくし御影は先日、彼女……朝見優生さんと結婚いたしました。結婚パーティーに関しましてはまた改めてご連絡いたします」


い、今このタイミングで発表するの……!?


当然、周りもステージを見つめながら目を丸くしておりザワザワとあちこちから驚きの声が聞こえてくる。

ここからだと会場全体が見渡せて色々な人に見られているという実感が湧いてきて足がぶるぶると震えてしまう。


ほんと、わたしって情けないなあ。

強くなったつもりだったのに何も変わっていない。


バカにされても、ジュースをかけられてもわたしは何も言い返せなかった。


いつまで経っても自分に自信なんて持てないままで。