男性が物珍しそうに数秒こちらを見た後「ありがとうございます」と頭を下げてくれた。

わたしも同じように頭を下げて、御影さんの返事も待たずに会場のすみっこへと早足で向かった。


ここにいる人たちはわたしと御影さんが結婚していることを知らない。

だからなのか、あちこちから好奇の視線を感じる。



「なに、あの子」


「御影様の隣にいたけど、どういうこと?」



みんながわたしの方を蔑むように見ながらヒソヒソと心無い言葉を並べている。

やっぱり……わたしはここの人たちとは違う世界に住んでいて、この人たちの住む世界に足を踏み入れることは許されなくい。


どう見たって、不釣り合いなんだ。

だって、わたしは召使いだもん。
いつだって誰かのプリンセスにはなれない。

所詮、脇役で終わるんだよ。



「あなた、朝見さんよね?どうして借金のあるあなたがこんなところにいるの?御影様とどういうご関係なのかしら」



しばらくして女の子が声をかけてきた。