まあ、御影さんに前にしたらこうなるのも無理はないよ。

彼に何かしようもんなら大きな会社ですら簡単に潰せてしまうくらいの権力を持っているのだから。


「こちらこそご招待いただきましてありがとうございます」


御影さんの目尻が一瞬にして別人のように下がる。

いつもとは違う余所行きの顔だ。

そして、こんな笑顔を浮かべておきながらやる事が残酷で容赦がないから冷酷だとか言って恐れられているらしい。


わたしの前ではあんまり仕事の話はしてくれないからそんな感じはしないんだけど、ふとした時にそう言われる理由を感じることはある。



「いえ、とんでもございません。いつもお世話になっておりますので。あちらで今後のお話を少しよろしいでしょうか」


「いや、今日は……」


「わ、わたしなら大丈夫なので……!あっちの隅で終わるまで待ってます」



わたしのせいで商談がナシになったりしたら大変だから邪魔者は退散しよう。


できるだけ、御影さんの迷惑にならないように。
今日はそれが目標だもん。