きっと、御影さんに相応しくないとでも思われているんだろうなあ。
そんなこと言われなくたって、わたしが一番よくわかってるよ。
次第にザワザワと騒がしくなる中、彼は慣れたように堂々と歩を進め、その後ろをわたしは身を小さくして歩く。
「下なんて見んな。前向け、バカ」
隣から小さな声がわたしの耳に届いた。
自信なんてないわたしはいつの間にか無意識に視線を下げてしまっていたみたいだ。
これ以上、御影さんに迷惑を掛けちゃダメ。
そう思ったわたしは言葉通り、視線を上げて真っ直ぐ前を向いた。
だけど、痛いほど突き刺さる視線たちに心拍数が上がっていく。
そ、そんなに見ないでほしい……。
もう足がさっきからガクガク震えてて、普通に歩けているのが不思議なくらいだよ。
「御影様、本日はお越しいただきましてありがとうございます。大変光栄でございます」
パーティーの主催の男性なのか御影さんに深々と頭を下げて、ニコニコと愛想の良い笑顔を浮かべている。
だけど、緊張しているのか恐れているのかどちらかはわからないけれど、手が震えていた。