「ありがとうございました!お姉さんのおかげでちょっとだけ自分に自信が持てました!この後のお仕事も頑張ってください!」


それだけ言うと、わたしは御影さんのあとを追った。

すでに車に乗り込んでいた御影さん。

そういえば御影さんも着替えていて、光沢のある濃いめのグレーのスーツがよく似合っていた。


あれがわたしの旦那様だなんて未だに信じられないよ。
たぶん、家族が生きていたら腰を抜かして驚くと思う。



「お待たせしてすみません」


「おー、とってもお似合いです」



わたしの姿を見るなり、柴田さんが褒めてくれた。



「ありがとうございます」



たとえ、それがお世辞だとしても嬉しかった。

御影さんには褒めてもらえてないけど。


それから御影さんは車内で一言も話さなかった。


やっぱり……変だったのかな。
想像以上にわたしが似合ってないから怒ってるのかな。


どうしようとない不安を抱きながらパーティー会場である有名ホテルに着くと、御影さんは先に降りて、わたしの方の扉を開けた。


何をするんだろう……?
降りて帰れとか言われるのかな?


なんて考えていると、すっと目の前に手を差し伸べられた。