「着いた。降りるぞ」


しばらくして、その声と共にトントンと肩を叩かれてゆっくりと瞼を開けた。

いつの間にか目的地に着いていたのか車が停止していた。


どのくらい寝ちゃってたんだろう。
ていうか、イビキとかかいてなかったかな……!?


なんて一人でアタフタとしながら考えていると、御影さんはわたしが目を覚ましたのを確認し、颯爽と車から降りた。


置いて行かれないようにわたしも続いて降りたけど、なぜか腕を掴まれて、これまた見上げるほど大きい白を基調とした清潔感のある建物の中へと連れてこられた。


「あ、あの……」


な、なにここ……?

どう見てもパーティー会場ではないことは確かだ。


「うるさい」


う、うるさいと言われましても……。


「御影様、お待ちしておりました」


中に入るとスーツを着た綺麗な女性がにっこりと笑顔を浮かべ、深々と頭を下げた。



「コイツのこと、頼む。ドレスはあれがいい」


「承知いたしました。それでは、奥様こちらへどうぞ」



そう言って、女性はわたしを別の部屋に案内してくれた。

言われるがままついてきたけど、御影さんは来ないのかな?

それに“奥様”ってわたしのことだよね?
なんか呼ばれ慣れていないから身体がムズムズしちゃう。