「あれ?今日は運転されないんですか?」


「あれは特別だ。今日は他のやつだけどいつもは俺の秘書が運転手も務めてる」


「そうだったんですか」



確かに冷静に考えてあの御影家に運転手がいないわけがない。
ましてや、自分で運転なんて滅多にしないだろうし。

ていうことはこの前はわざわざわたしのために……?

いや、いくらなんでもそれはないよ。
あの時はたまたまそういう気分だったか運転手の方が来れなかっただけ。

うん、そういうことにしておこう。


シートベルトをすると、バックミラーで見ていたのか車がゆっくりと動き出した。



「あの……」


「なに?」


「1つ質問してもいいでしょうか」


「ん」


「なんでサングラスをかけてるんですか?」



家を出るときはつけていなかったはず。

わたしを迎えに来てくれた時も、夜にクラブの近くで会った時もサングラスをかけていたことを思いだした。



「不特定多数に顔を見られないようにな」


「へえ。お金持ちも大変なんですね」



外出するときまでそんな苦労があるなんて。