うわあ……さっきの姿とのギャップがすごいし、何を着ても似合うし、かっこいい。
はっ……!
御影さんに見とれている時間は今のわたしにはないんだった。
「どこって学校です!」
正直、急いでいるので無駄に話しかけてほしくない。
「送ってく」
「へ!?自力で行けます!」
玄関に置いてあるローファーに足を突っ込んで、つま先をトントン、と雑に鳴らす。
「お前、学校までの道、わかんの?」
「あ……」
その言葉にわたしはフリーズした。
そういえば、家の場所が変わったんだった。
普段バイトばっかりで外を出歩くことのないわたしは道を全然知らない。
終わりだ。詰んだ。
「ほらな。早くしねえと遅刻すんぞー」
「あ、ありがとうございます!」
わたしよりも先に出て行ってしまった御影さんの後を追う。
一体、いつの間に準備したのやら。
本当に隙のない人だ。