心臓がばくんばくん、と破裂してしまいそうなくらい暴れていて全然鎮まる気配がない。


思わず、その場にしゃがみこんだ。
恥ずかしさで熱を持ったわたしの顔は今リンゴみたいに真っ赤だと思う。

自分の手を頬に当てるとひんやりとしていて冷たい。

それでも、頬の熱はなかなか引いてはくれなかった。


「あ、学校!」


しばらくぼーっと余韻に浸っていたけれど、ふと思い出したかのように声を上げた。

そうだ!色々あってすっかり忘れちゃってた。
急いで立ち上がり、時計を見るともう7時半を回っていた。


やばいやばい。遅刻しちゃう!

特待生としてありがたいことに学費を免除してもらってる身で遅刻なんてしたら大変なことになってしまう。

焦る気持ちでカバンとお弁当の入ったランチバックを持って、玄関までドタバタと走る。


「どこ行くの」


後ろから声がして、振り返るとそこには暗めのブラウンのスリーピースのスーツに深いワインレッドのネクタイをつけた御影さんが立っていた。