「ん~、美味しい!」


わたしも御影さんの隣に座って食パンにかじりついた。


「ほんとに美味そう」


そんな言葉が隣から聞こえてきたかと思えば、わたしの口が柔らかいもので塞がれた。



「え……?」


「こっちのほうが甘くて美味しいな」



何が起こったのかわからないわたしを御影さんが意地悪そうに口元を緩めて見ている。



「な、な、な何を……!」


「何ってキス?あまりにもお前の唇が美味しそうだったから」


「ま、またわけのわからないことを……。まだ朝ですよ!」


「え、なに?キスって夜しかしちゃダメだと思ってんの?」


「ち、違うんですか……?」



わたしはそういうことにおいてあんまり知識がない。

ドラマとかも家にテレビがあった頃は見ていたけど、一人で暮らし始めてからは観ていないし。

かろうじて、学校で仲良くしてくれている友達から彼氏とのそういう話を軽く聞くくらい。



「ははっ……!今時そんなこと思ってる子いるんだ」