あともうちょっと遅かったらそうなってたかも。

御影さんにそんな無礼なことしたら色んな人に叩かれそうだ。


「いただきます」


御影さんがこんがり焼けた食パンを食べるとサクッ、と美味しそうな音が耳に届いた。

うぅ……美味しそう。
朝からなんて贅沢なんだろう。

昨日まではお金がもったいなくて朝ご飯を食べずにいた日もあった。

そう考えると、まだ2日目だけど今の生活はとっても楽しい。



「どうですか?」


「ん、甘くて美味しい」



そう言いながら、御影さんは本当に一口でわたしに食パンの乗ったお皿を渡してくる。



「それなら全部食べてくださって大丈夫ですよ!わたしはもう一回焼くので!」



御影さんの朝ご飯だって準備できていなかったわけだし。

わたしの分なんてもう一回焼けば済む話だ。



「ううん、もういい。あとは食べな」



ここで粘るのが一般的なんだろうけど、優しい声色で言われてしまったら我慢できなくてコクンと頷いた。


甘いシュガーの香りによだれがでちゃいそうだ。