「それはしてみなきゃわかんないじゃん」


「そもそも、好きじゃないのに結婚なんて……」


「どのみち、俺は好きじゃない女と結婚しなきゃなんないんだからそこはどうでもいいけど、お前は違うの?」



ち、違うのって……そりゃあ好きな人と結婚したいと思うのが普通でしょ。

でも、普通の世界で生きてきていない御影様にはきっと何度言ってもわからない話。


怖くなって俯いたまま、小さく首を縦に振る。



「ふーん。でも借金あったら恋愛なんてしてる暇ないでしょ。お前にとって悪い話じゃないと思うけど」



ぐっ……さっきから痛いところばかり突かれている気がする。


確かにこのまま借金を自力で返そうとしたらきっと恋愛なんてしてる場合じゃないから恋や愛なんかとか無縁の世界で生きていくしかないのだと思う。


それなら御影様と結婚して借金地獄から抜け出すほうが得策だ。



「ほら、どうなの?俺と結婚する?」