ほぼ初対面なのに。
やっぱり騙されてるのかな。
いやいや、仮にもわたしの粗相を庇ってくれた人に対して騙されてるなんて失礼すぎる。
「ちゃんと待ってたんだな」
そんな声と共に感情のない瞳がわたしに向けられる。
そこに立っていたのは他の誰でもない、御影様だった。
ただ立っているだけなのに威圧感を感じさせ、空気が凍るような恐ろしさが彼にはあった。
「あ、あの……!お支払い……ありがとうございました!」
頭が真っ白になって何も言えなくなる前にさっきから脳内で何度も練習していた言葉を発した。
御影様が払ってくれていなかったらわたしはもう二度とこの店には入れなかったし、借金がさらに増えてしまっているところだった。
感謝してもしきれないよ。
「別に」
返ってきたのはたった三文字。
そういえば、冷たいと言われてる人だったなと思い出した。
「お、お金はちゃんと返し……」
「俺がお前の人生もらってやる」