わたしの粗相が原因で一滴も飲めていないはずなのに。
どうやって恩返しすれば……。
「あの御影様がそこまでされるなんて優生ちゃんやるわね♪」
「え……えぇ?」
ニコニコとどこか楽しそうなママにわたしの感情は置いてけぼりになっている。
やるわねってどういう意味なんだろう……?
「まあ、わたしは最初から優生ちゃんの魅力に気づいてたけどね」
可愛くウィンクをすると、フフフと笑みをこぼしながら店内へと出て行ってしまった。
ママさんの言っていることの意味はまったくわからなかったけど、とにかく御影様にお礼を言わなくっちゃ。
22時にちゃんと店の裏で待ってよう。
どっちにしろ、行かないと後が怖いし。
―――午後10時。
わたしはバイトが終わると言われた通り、お店の裏で一人待っていた。
怖いけど、ちゃんとお礼を言わなきゃダメ。
なんか今日は御影様に助けてもらってばかりだなあ。