「わたしはずっとお礼が言いたかったのに」
わたし以外にもこうして家族のことを気にかけてくれる人がいることが嬉しかった。
一人ぼっちになったわたしになんだか仲間がいるような気がして。
「俺もお前がどこに住んでるのか住職に聞いたけどさすがに教えてもらえなかったしお互い様だろ」
「そういう問題じゃないんだってば」
「なに?もっと早く会いたかったって?」
そう言って意地悪そうに、にやりと口の端を上げた琉世さん。
「なっ、」
「お前、俺のこと大好きだもんなー」
「そ、そんなことないですし!」
嬉しそうにわたしの頭をポンポンと優しく撫でてくる琉世さんにわたしは可愛げのない返事しかできない。
きっと、世の中の女の子はもっと可愛い対応ができるんだろうなぁ。