わたしが部屋を出て行くとき、慌てて謝ったリアさんに御影様が冷たく言い放った。


あー……彼が冷酷だと言われる理由が分かった気がする。

でも、わたしにくれた言葉は心なしが全部優しかった。


いや、自惚れるのはよくない。
厨房に戻ったらママにもみんなにも謝らなきゃ。


ここにいられるのも今日までなんだから……最後まで頑張ろう。



◇◆◇



「申し訳ございませんでした!弁償させていただきます」



ママの手が空いた際に慌てて頭を下げて謝罪にきた。



「大丈夫よ。代金は支払われてるから」


「え、今なんておっしゃいました……?」



ママの口からサラリと出た言葉に自分の耳を疑った。



「だーかーら、弁償はしなくていいの。御影様が『頼んだのは自分だから代金は自分が払う』っておっしゃられてね。受取れないって言ったのに払うの一点張りで……」


「そ、そんな……」



わたしはなんてことをさせてしまったんだろう。