昔から名家に生まれたことをよかったと思ったことなんて一度もなかった。


地位も名誉も権利も何もいらなかったから。


俺はただ普通のありふれた幸せがほしかっただけ。


でも、優生を守るためならそのすべてを使う。


俺が優生を見つけたときのように。



「優生、死ぬほど好きだよ」



そう言いながら眠っている愛おしい人の額にちゅ、と軽いキスを落とした。