でも、そう言わなきゃ優成はこの世に“妹の幸せ”という一番の未練を残して死んでいくことになる。


それだけは嫌だった。



『ありがとう、琉世。俺、お前と仲良くなれてよかったし、本名を教えてくれて嬉しかったよ。優生をよろしくな』



それが俺の生涯の親友と話した最期の会話だった。


翌日から優成は学校に来なくなり、しばらくして朝見一家が練炭を使用した一酸化炭素中毒の無理心中の末、妹だけが助かったと聞いた。


死亡した父親と母親、優成は睡眠薬を服用しておりそのまま死亡。


生き残った妹がたまたま睡眠薬を飲んでおらず、様子がおかしいと駆け付けた近所の人に助けられたそうだ。


たまたま飲まなかったと言っているけど、俺は真実を知っている。


きっと、優成が睡眠薬の入った飲み物と何も入っていない飲み物とすり替えたんだろう。


お前は一体どんな気持ちで最期を迎えたのか。

どれだけたくさん考えて、悩んだのか。