信用できる人間なんて柴田くらいしかいなかったのに。



『本気じゃないと思ってた?いや、俺さー実は前からずっと御影のこと気になってたんだよなあ』



俺の手にパンを置いて、ニコニコと機嫌良さそうに焼きそばパンを頬張っている朝見。

そういえば、今までコイツは俺に対して “様”と呼んだり、媚びるようなことも、会社の話も一度もしてこなかったな。



『お前だけじゃね? “御影”なんて最初から呼んでくんの』


『え?だって同級生なんだから良くない?友達を“様”で呼ぶ方が変だろ』



朝見はまたさらりとそんなことを言った。


俺はその時、やっと理解したんだ。
本当に朝見は俺と友達になりたいと思ってくれているのだと。



『お前、変わってるな。なんで俺なんかと友達になんかなりたいって思ったわけ』