俺が優生の兄、優成に出会ったのは中学3年の時だった。


“御影家”という名前が知れ渡っていた学校では入学当初は名家と仲良くなりたいがために俺に話しかけてくるは腐るほどいたが、すべてあしらっていたら3年になったときには話しかけてくるやつなんていなかった。


それなのに、



『おー、君が噂の御影か』



たまたま席替えで前の席になったやつがわざわざ振り返ってなぜか嬉しそうに笑った。


それが俺と朝見優成との最初の会話だ。




規模は大きくないが飲食店を経営している朝見グループの息子。


成績優秀で老若男女問わず優しいやつだ、と柴田が言っていたのを頭の片隅で思い出す。