「お兄ちゃんの親友だったから結婚したんでしょ?わたしは琉世さんに幸せになってほしいから……!」



好きでもない女と結婚なんてしちゃダメだよ。


お兄ちゃんと何があったのか知らないけど、わたしは琉世さんのことが好きだから結婚してよかったと思っているけど、琉世さんはそうじゃない。


自分の親友の妹が借金返済に追われて、みんなに嫌がらせされて生きてるのが可哀想だと思ったんでしょ?



「いくら俺でも親友の妹と好きじゃねえのに結婚なんてするわけねえだろ。自分の命を懸けても大事にしたいってそう思えたのがお前なんだから責任取ってくれない?」



じっとわたしのことを見つめる漆黒の瞳は揺るがない。

ドクン、と鼓動が大きく跳ねた。



「……ズルい」


「この際、ズルくてもなんでもいいよ」


「っ、」


「お前は信じてねえかもしんないけど、お前が思ってるより何億倍も優生のこと好きだよ」