「え?」


「アイツが俺と優成の関係をお前に伝えたんだろ」


「……」



優成とはわたしのお兄ちゃんの名前。

やっぱり、彼女の言うことは正しかったんだ。


わかっていたのに本人の口から聞くと胸がぎゅっと締め付けられて苦しい。



「黙ってたのは悪かった。でも、それで勝手にこれ書いて出ていくのは許してねえから」



そう言って彼がスーツの内ポケットから取り出したのはわたしがあの日書いて出て行った離婚届だった。