“短い間でしたが、ありがとうございました。お金はちゃんと返します”


とだけ書いたメモを残して立ち上がった。


「ありがとう……琉世さん」


数か月だけだったけど、十分すぎるくらい幸せだった。


勝手に出て行ってごめんなさい。

大好きだよ、琉世さん。
わたしを地獄から救ってくれた大事な人。


だから、幸せになってね。


琉世さんには家に帰ってくるまでバレないようにしばらく友達の家に泊まるとだけ連絡した。


怖くなって返信が来る前にスマホの電源を落としたけど。


それから学校に戻ってすぐに指輪を探すため、草木が生い茂った場所へとつぼみちゃんと向かった。



さようなら、琉世さん。