優しくわたしの頭を撫でてくれるつぼみちゃん。

いつもいつもこの優しさに助けられてばかり。



「ありがとう、つぼみちゃん」


「ほら!中学の時に優生がわたしの大事なキーホルダー泥まみれになりながら探してくれたじゃん。あの時のお礼だよ」



にこりと屈託のない笑顔を向けてくれるつぼみちゃんに胸がじーんと熱くなる。


それからお互い一度家に帰って、いつか必要になるかもしれないと役所からもらってきてた“離婚届”を引き出しから取り出した。


これを書いたらもう戻れない。
今朝までの幸せな生活は終わり。

ちょっとしか一緒にいられなかったけど、すごく楽しかった。

とても充実した日々だった。
思い出だけで生きていけそうなくらいには。


涙で視界が滲むけれど、わたしはペンを手に取って自分の情報を書類に書き込んだ。


離婚届に落ちた涙が丸いシミをつくる。