必死の抵抗も虚しく、伊勢谷さんはわたしの薬指にはめられた指輪を強引に外して取り上げた。



「返して……!それは御影さんがわたしにくれたの……!」



たとえ、その気持ちが嘘だったとしてもあの指輪はわたしの大切なものだから。


取り返そうと手を伸ばしたけれど、彼女は指輪をそのまま窓の外へと勢いよく放り投げた。



「お兄様も家族も死んで可哀想だから御影くんはあんたと結婚しただけ。自惚れるのもいい加減にしなよ」



急いで窓の外を見てみたけれど、草が生い茂っていてどこにあるのかさっぱりわからない。