好きって言ってくれた言葉も、あの笑顔も、体温も。


―――全部、嘘だったの?



「親友の妹と結婚なんて同情以外の何物でもないんだからさっさと別れてくれない?そしたらわたしは御影くんと結婚できるんだから」


「ちょっとあんた……さっきから好き放題言ってるけどわたしから見たら優生と御影様はちゃんと好き同士だからあんたとなんか結婚するわけないでしょ!」



ずっと隣で聞いていたつぼみちゃんが怖い顔をして伊勢谷さんにそう言った。



「なにあなた。別にわたしは提案してるだけなんだけど」



伊勢谷さんは悪びれる様子もなく、至って笑顔で言い放つ。

きっと悪いと思ってないんだと思う。

わたしにお兄ちゃんと琉世さんの関係を伝えてきたのも全部琉世さんと結婚するためなら何でもできるってことなんだ。



「あの、」


「だからその指輪外してくれる?わたしのほうが相応しいんだから早く離婚して」