どうして、わたしのお兄ちゃんが関係してくるの?



「あれ、もしかして知らないの?あなたのお兄様と御影くんは学生時代に親友だったらしいわよ。まあ、そのせいでわたしが御影くんと結婚できなかったんだけど」



もちろん伊勢谷さんの声は周りにも聞こえているわけで会話を聞いていた人たちがヒソヒソと小さな声で話している。

だけど、わたしはそんなことを気にしていられる余裕なんてどこにもなかった。


お兄ちゃんと琉世さんが親友だった……?
そんなこと琉世さんの口から聞いたことない。

もし、それが本当だったならどうしてわたしに隠してるの?



「その様子じゃ知らなかったのね。あなたのお兄様が亡くなってすぐに御影くんがわたしとの縁談を断って誰かを探し始めたのよ」


「そん、な……」



じゃあ、琉世さんはわたしがお兄ちゃんの妹だって知ってて結婚したの?

親友の妹が借金まみれで可哀想だから助けてくれたの?