「じゃーん!琉世さんの好きであろうハンバーグだよ」


「……」


料理を順にテーブルの上に乗せていく。

その光景を前に何も言わない琉世さん。



「さっ、食べよう。いただきます」



琉世さんはさっそく食べ始めるわたしを見つめているだけで、先程から固まったまま。



「……」


「何見てるの?早く食べないと冷めちゃうよ」


「お前、何なの?」


「え?」


「急に入ってきて飯食うって意味わかんねえし」


「今日、誕生日でしょ?」


「お前に関係ねえだろ」



そう吐き捨てるように言った琉世さんの表情は曇っていた。



「あるよ」



わたしがそう言うと、夜を纏った闇のように深い漆黒がジッと見つめてきた。

だからわたしはそのまま言葉を続けた。



「だって、わたしと琉世さんは夫婦ですから」


「でも、」


「まあまあ、そう怒らないで早く食べて」



そう急かすように琉世さんにご飯をすすめた。

ご飯を食べ終わって一段落してからわたしはキッチンの冷蔵庫からケーキを持ってきて、再び部屋に戻るなり、パチンと電気を消した。