「持ってくるから待っててね!」


「おい、あとで食べるからいらないって」



そんなことを言っている琉世さんなんて無視して準備したモノを持って再び部屋の前に立つ。



「入るよ?」


「おい……!」



───パンッ!!

ドアを開けた瞬間、わたしは持っていたクラッカーを鳴らした。

パンッ、と勢いよく弾けたクラッカーから金と銀の紙吹雪がひらひらと舞い、部屋のライトに反射してキラキラと光っている。



「なにすんだよ……」



心底うっとうしいというような顔で眉間に皺を寄せた。

完全に不機嫌モードだ。

部屋に漂う空気の重さにさっきから膝がぶるぶると震えている。


でも、ここで怯んじゃダメ!
負けるな……わたし!


「お誕生日おめでとう!」


満面の笑みで言うと、


「……うざ」


琉世さんは表情一つ変えずに迷惑そうにそう呟いた。


「ちょっと待っててね!」


今度こそ、先程出来上がったばかりの料理をおぼんに乗せて持っていく。