「そう、なんですか……」


どこか遠いところを見つめながら、眉を下げて言った柴田さんの瞳は切なげに揺れていた。

そりゃあ、昔からずっと一緒の親友みたいな人がそんな闇を抱えて生きてたら辛いだろうな。


「アイツは誕生日に祝われるのとかが嫌だから毎年部屋に籠って出てこねえの。祝うことも御影から止められてるから俺はただ見守ることしかできないんだよ。情けねえよな」


やるせなさそうに力なく笑う柴田さん。

その表情から琉世さんのことを本当に大事に想っていることがひしひしと伝わってくる。


琉世さんが生まれてきたことをよく思っていないことはわかった。

あの深い闇のように孤独な瞳はそういう意味だったんだ。

幼い頃から彼は一人で寂しかっただろうなぁ。
きっと広いお家で一人……お父さんとお母さんの帰りを待っていたんだ。


琉世さんの気持ちを想像して考えるだけでキリキリと胸が痛む。