今日はなんかおかしいなぁ。

なんてことを思いながらもじっと琉世さんを見つめていると琉世さんは冷蔵庫からペットボトルの水を手に取るとそのままリビングから出ていってしまった。



「御影はね、自分の誕生日が大嫌いなんだよ」



琉世さんの背中を見つめながらぽつり、と呟くように言った柴田さん。



「え……?」


「ほら、御影のご両親って忙しい人たちじゃん?誕生日の日も家を空けることが多かったみたいで家にあるのはプレゼントだけ。御影が本当に欲しかったのはご両親のいる家だったんじゃねえかなー……」



そんな……誕生日を祝ってもらったことがないの?

てっきり、誕生日は一年で一番幸せな日だと思ってた。

それが当たり前だった。
でも、それは何も当たり前じゃなかったんだ。



「彼はだからお礼を言わなかったんですか……」


「アイツは自分が生まれてきたことをよく思ってねえんだよ。周りから“おめでとう”って言われても本気で思ってるわけじゃないってどっかで決めつけてるんだろうな」